製剤技師認定制度について

写真:製剤技師認定証

制度設立の趣旨

日進月歩で進展する科学技術や医療環境に対応して,社会から期待される職責を果たせることを保証する目的で様々な認定制度が実施されております.薬学分野や薬剤師の職域に限っても,既に日本臨床薬理学会認定薬剤師,感染制御専門薬剤師,HIV感染症薬剤師,がん専門薬剤師など,多くの認定制度が関連学会や職能団体で次々と誕生しており,認定人数も次第に増加していることは周知のとおりです.

このような状況で「薬剤学の進歩および普及をはかり,科学,技術、文化の発展に寄与することを使命とする」本薬剤学会としても,”基盤拡大と骨太の薬剤学会の構築”構想のもと,医薬品メーカー等において製剤に携わる研究・開発・製造担当者が,日常業務の遂行上必要とされる共通の基礎的かつ専門的事項及び法規・制度の学識を修得している方々を「製剤技師」として認定する制度を立ち上げています.

「製剤技師」認定制度は,製剤研究・開発における専門家としてのステータスの確立や,職務に対するモチベーションの一層の高揚をはかるための支援ツールとなることを志向した,極めてユニークな制度であり,これらの方々が近い将来,職場におけるリーダー(係長クラスを目安)としての素養を有し,かつ学識を実務に十分に応用できることを保証するために,本学会が製剤技術のスペシャリストとして公式に評価・認定する制度と位置づけております.

これまでの経緯と組織

2009年5月に認定試験準備委員会(委員長:松田芳久 神戸薬科大学名誉教授)を設置して検討を重ねて,全体の方針,試験の範囲(出題分野)など,認定制度のコンセプトを明確化するとともに,2010年3月にはこれらの検討結果を検証するため,製薬会社各社の精鋭26名にご協力をいただいてトライアル試験を行い,最終確認を実施しました.その後,委員会名を製剤技師認定委員会に改称して2010年11月には第1回,2011年第2回以降,毎年10月に認定試験を実施し,次表のとおり栄えある324名の「日本薬剤学会認定製剤技師」を認定しております.

実施日 合格者数
第1回 30
第2回 7
第3回 20
第4回 24
第5回 25
第6回 23
第7回 26
第8回 2017年10月21日 31
第9回 2018年10月20日 31
第10回 2019年10月19日 25
第11回 2020年10月17日 22
第12回 2021年10月16日 21
第13回 2022年10月15日 25
第14回 2023年10月14日 14
合計 324

なお、2023年4月現在,本委員会は大学の教員や製薬企業の製剤技術専門家など全8名で構成されていますが,実際の試験問題の準備は,17名の専門家(大学関係7名,企業関係10名)を問題作成委員として、分野ごとに各1名が5~6問の問題案を作成し,合計100問の中から,委員で編成された7名のレビューアーにより監修・絞り込みを行い,最終的に委員長が中心となって校閲・まとめを行い,ようやく基礎編30問,応用編42問(必須12問,選択30問)の試験問題が確定するという,厳選かつ精査されたものとなっています.

本試験の目的

試験制度を通して,個々の企業に加えて,本学会でも側面的に次のような”優れた人材の育成”を図ることを大きな狙いとしています.

  1. 製剤分野の研究・技術に深く熟練し,後進に十分な技術指導が行え,かつ,技術の革新・改良に主体的に貢献できること
  2. 新規性の高い,あるいは難易度が高い製剤学的課題に取り組み,その解決策を提案できること
  3. 技術課題の核心を捉えるとともに,具体的な解決策を実行計画にまで組み入れ,具現化できること
  4. 医薬品業界や製剤研究全般における社内外の動向に常に傾注し,総合的な視点から研究活動を展開できること

資格の取得によって期待されるメリット

資格を取得した場合には,以下のようないくつかのメリットが期待されます.

個人レベルでは:

  1. これまで職務上のアドバンテージとなり得る資格がなかった製剤分野において,キャリアアップの際に,アカデミアによる初めての評価システムによって資質が保証されること
  2. 自己の製剤技術が経験と学識の両方に基づいたものであることが,客観的に評価されること
  3. 学会へのより積極的かつ主体的な参加と貢献が期待できること(例えば,本学会などの事業において,委員等として参画することの契機となるなど)
  4. アンケート調査の結果においても、とくに他学部出身者からは本認定資格取得に対する期待と希望が高く、取得によって職場における一層の自信と活躍の源泉となり得ること

企業レベルでは:

  1. 社内におけるOJTの到達度の確認として活用できること
  2. 社内の若手研究者相互の認定資格取得意欲の高揚をはかることによって,職場の一層の活性化が期待できること
  3. GEメーカーやCMOにおいては,自社の技術力を製品品質とともに標榜可能となり得ること

受験資格

医薬品・食品・化粧品等の製造企業,並びに病院,大学,その他の研究機関において,製剤関連業務に5年以上従事した方(自己申請が可能.ただし,学生・大学院生としての経歴は含まない),またはこれらに相当する実務実績を有する方(所属長の証明必要)であれば受験可能です.公益社団法人日本薬剤学会製剤技師認定規程第5条を参照下さい.

基礎編 出題分野 問題数 応用編 出題分野 問題数 配点:
基礎編
=1問2点
応用編
=1問3点
物理薬剤学 8 必須 選択
生物薬剤学 8 経口投与製剤 4 10 18問選択
製剤学 8 注射・眼投与製剤 4 10
レギュレーション 6 その他の製剤 4 10
製剤を扱うものであれば知っておくべき基本的な知識 代表的な製剤ごとに比較的専門的な製剤知識について問うもの
問題総数: 72問 30 解答総数: 60問 12 30[18] ⇒30
基礎編:試験時間75分 ~ 休憩:15分 ~ 応用編:試験時間90分

問題の構成は上表のとおりですが,基礎編と応用編があり,基礎編(30問、各2点配点)は物理薬剤学からレギュレーションまで,4分野から構成されており,いずれも基礎知識を問う比較的専門性の低い,全般的な問題で,全問必須です.応用編(各3点配点)については,全42問のうち12問(経口投与製剤,注射・眼投与製剤,その他の製剤各4問)を「必須問題」とし,残りの30問(経口投与製剤,注射・眼投与製剤,その他の製剤各10問)中から18問を「選択問題」として解答する方式としています.したがって,基礎編も含めて問題総数72問に対し,60問が解答総数になります.

トライアル試験(サンプル問題)の全問題と解答・解説及び第1回以降の全問題と解答,並びに出題項目は本学会ウェブサイトにて公開中です。また、同じく第1回以降の認定試験の全問題と解答・解説はPharm Tech Japan誌(じほう社)Vol. 27(2010)以降の各巻No. 2号辺りから4~5回に亘って分割して順次公開されますので、問題の傾向と難易度をご確認下さい。

参考書

製剤技師認定試験の参考書(2023.5.1)

受験勉強の目安に参考となる書籍類をあげましたが,あくまで例示であり必ずこの範囲から出題されることを保証するものではありませんので,ご注意願います。

受験料(10%の消費税込)

本学会会員:33,000円,非会員:44,000円(ただし,早期申込制度により,5月初~6月末までの申込はそれぞれ11,000円の減額)

合格時の認定料は,いずれも22,000円

試験日及び試験会場

毎年1回.10月又は11月の土曜日13:00~16:20
*東京及び大阪の2会場において同時に実施.

合格発表

翌年1月下旬に合格者を発表し,本学会のウェブサイトに希望者のみ氏名を掲載.

称号:日本薬剤学会認定製剤技師

認定証を授与された方は,名刺,履歴書などに以下の称号を記入されることをお勧めします。

  • 和名:日本薬剤学会認定製剤技師
    なお,次のような短縮形は不可です:×製剤技師 ×認定製剤技師
  • 英名:The Senior Scientist of Pharmaceutical Technology of APSTJ

認定製剤技師の大きな特典として,認定者のうち非会員の方には1年間,準会員として学会参加および機関誌の購読などの優遇措置の特典が与えられます.

お問合せ先

詳細については,本学会ウェブサイトに順次最新情報を掲載いたしますので,こちらをご参照ください.その他ご不明な点は,本学会事務局までお問合せください.

公益社団法人日本薬剤学会事務局 製剤技師認定事業
Email: nintei [at] apstj.jp
[at]を@に置き換えてください。

Phone: 03-6277-4351
※ご質問等はE-mailでお問い合わせいただきますようお願い申し上げます.