2026年度各賞受賞者一覧

学会賞

物性評価技術を基盤とした計算化学と実験の融合による製剤設計の高度化
米持 悦生(国際医療福祉大学 成田薬学部)

米持悦生博士は、物性評価に基づく製剤設計について、計算化学的手法を導入した創造性の高い研究を精力的に推進され、原薬および製剤物性の評価技術の向上に著しく貢献する成果を挙げられている。これまでに原著論文・総説を300報以上発表されるなど、製剤開発への応用が期待される多くの研究業績を有する。本学会では、理事を歴任され、また各種委員会やFG活動において尽力されるなど、本学会に対する貢献度も大きい。さらに、長年にわたり本学会の製剤技術伝承事業に携わられ、薬剤学に関する教育に大きく貢献されるとともに、公的機関で要職を務め、薬剤学における国際調和にも貢献されている。

功績賞

受賞なし

奨励賞

磁場を利用した標的指向型薬物・細胞送達技術の開発
河野 裕允(神戸薬科大学 薬学部)

河野裕允博士は、外部磁場に応答する標的指向型磁性リポソームの開発により効果的ながん治療の実現を目指した創造的な研究を展開されており、その成果は原著論文43報(うち筆頭著者22報)にまとめられている。本学会年会での発表回数も多く(48件)、国際学会でも複数回発表されている。本学会では、代議員やFG執行部等としても貢献されている。

タケル&アヤ・ヒグチ記念栄誉講演賞

Dr. LYNNE S. TAYLOR(Purdue University)

LYNNE S. TAYLOR博士は、医薬品非晶質製剤に関する研究において、薬物と添加剤ポリマーとの相互作用解析や液液相分離現象の発見と解明など、分子レベルでの物理化学的解析から分析手法の開発、更には製剤への応用研究まで、顕著で画期的な成果をあげてきた。それらの成果を多数の原著論文として発表しており、物理薬剤学・製剤学領域に対する世界的な貢献は卓越している。また、教育者としても多数の優秀な研究者を育成するとともに、日本からの留学生や研究者を多数受け入れてきており、日本の物理薬剤学・製剤学研究の発展への貢献も非常に大きい。

タケル&アヤ・ヒグチ記念賞

—当期設定なし—

旭化成創剤開発技術賞

バイオマスプラスチックを用いたPTPシートの実用化
西田 航大、吉田 友宏、小島 宏行(アステラス製薬株式会社)

本研究は、世界初の「バイオプラスチックを用いたPTP包装」を実現するための技術開発研究である。内容は、環境配慮型のバイオマスプラスチックを従来のPTPシートとして利用可能であることを示し、既存医薬品の包装として実装するに至る種々の研究を総括したものであり、高く評価される。本技術開発に際しての課題として、その成形性はもとより、既存のプラスチックですでに得られている水分透過性、衝撃保護特性等に関して同等の機能を得るために、多くの技術開発研究がなされた。さらに、患者さんが使用する際の利便性に至るまで考慮した検討もなされている。また、既存製品への適用を推進するために、従来の設備を利用して基準を満たす包装条件等を多角的に検討した点も高く評価される。すでに数社の同業他社との包装技術による環境負荷低減を趣旨としたコンソーシアム立ち上げにも積極的に参画しており、近い将来、当該技術に関しても開示、共有されるものと期待される。また、同コンソーシアムは環境配慮のポリシーを明確にしており、包装技術が医薬品産業における環境配慮を実践していることを示したことも評価に値する。

旭化成創剤研究奨励賞

新規分光技術を活用した固形製剤の品質保証と創剤開発への応用
井上 元基(星薬科大学 薬学部)

井上元基博士は、固形製剤の品質確保あるいは製剤開発に寄与することを目標に、分光学に基づいた新規な製剤分析技術の開発を中心に研究成果をあげてきた。低波数ラマン分光法に基づいた研究では、原薬結晶形の同定・定量を行う分析技術の他、共結晶形成や多形転移のリアルタイムモニタリングを可能にする手法を確立した。また、透過光を取得する光学系を導入することで、錠剤内部の結晶性を高精度に評価できる透過低波数ラマン測定を開発し、製剤中原薬の定量精度を向上させた。さらに、透過NIRを用いた解析研究では、連続生産における非破壊全数検査を可能とする実用レベルのシステム開発にも貢献している点が高く評価される。同氏の研究成果は、近年の固形製剤開発、あるいは生産時の品質管理に大きく貢献することが期待される。

細胞積層化技術を基盤とするリンパ節再生細胞医薬の開発
草森 浩輔(東京理科大学 薬学部)

草森浩輔博士は、細胞の製剤化技術としての活用を目的とする移植細胞の生存率を長期化させるための新技術の開発に成功した。その新規な技術は遠心力を利用した細胞積層化技術であり、実際、目標の機能性細胞を間葉系幹細胞で挟み込むことにより、両細胞がそれぞれ機能してリンパ管網を再生可能なことを示した。また、これまでの手法と比較して、リンパ流が再開通できる点及び長期間にわたって浮腫抑制ができる点などを実証した。その成果は国際的な科学誌雑誌への掲載が確定しており、高い価値を有するものと評価される。同氏の研究成果は、近年の多様化する医薬品モダリティに適応した有用な研究である。

優秀論文賞

Shiuhei Mieda, Kazuhiro Inoue, Atsutoshi Ito, Shuichi Yada, Makoto Miyajima, Toshiro Fukami
J. Drug Deliv. Sci. Tech. 104, 106454 (2025)
Optimization of formulation and device design for carrier-based nasal powder of influenza vaccine to maximize the delivery capability to the target site in the nasal cavity

本論文は、インフルエンザに対する経鼻投与型ワクチンの開発を目指した研究であり、昨今のワクチン開発における社会的・科学的ニーズに合致している。抗原および担体粉末の粒子径制御、ならびに投与標的部位への到達効率を最大化するための製剤設計を行っており、その成果は学術的・実用的観点から極めて意義深い。さらに、意図しない肺曝露を低減し得る最適化に関する情報は、経鼻投与型製剤の安全性向上に寄与する重要な知見である。これらの成果は将来的な経鼻投与型インフルエンザワクチンの臨床応用が期待されるのみならず、広く経鼻投与型製剤の開発にも有益な情報を提供するものである。

創剤特別賞

受賞なし

国際フェロー称号

Dr. LYNNE S. TAYLOR(Purdue University)

2025年度「薬と健康の週間」懸賞論文

テーマ:もしも薬学部生が博士の学位を取ったら社会でどのように活躍できるか?

  • 第1席 友永 祐子(昭和薬科大学)
  • 第2席 岩根 七楓(徳島大学)
  • 第3席 山田 吏桜(徳島大学)

2025年度製剤の達人称号

  • 細見 博(共和真空技術株式会社)