第5回製剤技術伝承講習会: 2009/9/1-10/22

2009-09-01 09:452009-10-22 18:00 ical Google outlook

ご案内

現在、改正薬事法の下、医薬品製造販売業と製造業が完全に分離されたのに伴い、企業から製剤の設計・製造のアウトソーシングが益々加速されており、製剤技術の伝承が途絶えることが懸念されています。そこで、本学会としてはこうした事態に対応するため、2006年に「製剤技術伝承委員会」を発足させ、製剤技術伝承講習会を企画しました。

技術伝承の対象者として、当初は医療用、ジェネリック、OTC、受託製造等の各医薬品メーカーの製剤技術者に加え、製剤設計・医薬品製造の手段を提供する製剤機械、エンジニアリング、添加剤等メーカーの技術者・研究者としてきましたが、更に大学・官公庁等での薬剤学・製剤学の研究者も含め、製剤技術の伝承対象者の裾野を広げることが重要と考えました。

第1回講習会として「固形製剤の製剤設計と製造法」を2007年3月に開始し、第3回以降は毎年、秋に固形製剤(東京、大阪開催)、春には非経口製剤(東京、大阪の交互翌年開催)の各講習会開催とし、より参加し易いように1日3コマの講義で4日間の開催としました。

おかげさまで参加者の95%以上の方から「大変参考になった」、「参考になった」との評価を得ています。また、今回から非会員も参加できるようになりましたので、広いジャンルから参加していただけるものと期待しています。

上記方針に基づき、第5回講習会「固形製剤の製剤設計と製造法」を以下の表のプログラムで開催することになりました。今回の講師陣としては第1回、第3回講習会の講師にも一部再登場いただき、製剤設計総論、製剤設計の重要性、造粒、打錠、コーティング、スケールアップ、異物混入防止をテーマにご講演いただくと共に、新に苦味のマスキング、経口投与型DDS、医薬品添加物の機能と役割、製剤の新しい評価法などのエキスパートにお願いし、製剤設計の理論と匠の技の話を織り交ぜた構成にしましたので、今回もどうぞご期待ください。

社団法人日本薬剤学会会長 岡田弘晃

製剤技術伝承委員会委員長 中村康彦

会期と会場

大阪会場 東京会場
会期 2009/09/01, 09/15, 10/06, 10/20(全て火曜日) 2009/09/03, 09/17, 10/08, 10/22(全て木曜日)
会場 毎日インテシオ(大阪府大阪市)

www.mai-b.co.jp/osaka/intecio/

東京八重洲ホール(東京都中央区)

http://yaesuhall.co.jp/

プログラム

日程 講義名・講師
大阪 東京 コマ
09/01 09/03 AM 製剤設計の重要性

平井真一郎/テイカ製薬、元武田薬品工業

PM1 固形製剤の異物混入 交叉汚染 防止対応

大谷茂義/ニプロ、元塩野義製薬、元武州製薬

PM2 製造現場における造粒・コーティングとスケールアップ(流動層を中心として)

坂本 浩/大原薬品工業、パウレック

17:00-18:00 懇親会
09/15 09/17 AM 製剤設計総論

小倉敏弘/日新化成、元塩野義製薬

PM1 水系コーテイング技術・ドライコーティング

槙野 正/京都薬品工業、元武田薬品工業

PM2 クラリスドライシロップ物語(製剤設計とその特徴)

矢島稔央/大正製薬

10/06 10/08 AM 医薬品添加剤

小久保宏恭/信越化学工業

PM1 造粒・打錠とスケールアップ

谷野忠嗣/塩野義製薬

PM2 スケールアップにおいてよく起こる問題点とその解決策

服部宗孝/東和薬品、元アステラス製薬

10/20 10/22 AM 製剤の新しい評価法

寺田勝英/東邦大学

PM1 経口投与型DDS設計と製剤技術

吉野廣祐/神戸学院大学、元田辺製薬

PM2 医薬品の包装設計と今後の課題

篠田 晃/サンノーバ、元エーザイ

17:00-18:00 懇親会

□ 各コマ時間帯:各120分(AM=09:45-11:45, PM1=12:30-14:30, PM2=14:40-16:40)

□ 内訳:講義90分+休憩5分+討論25分

□ 講義名・講師は予定。またプログラムは予告なく変更されることがあります。

□ カメラ等の録画・録音機器の持ち込みは禁止とさせていただきます。

社団法人日本薬剤学会 製剤技術伝承委員会

中村康彦 稲木敏男 岡田弘晃 小倉敏弘 片岡捷夫 草井 章 小林征雄 平井真一郎 山本恵司 横浜重晴

司会、懇親会には上記「製剤技術伝承委員会」から製剤のエキスパートが参加し、話題を提供します。

講師一覧(講演順)

平井真一郎 Shinichiro HIRAI
テイカ製薬(株) 顧問
元:武田ヘルスケア(株) 代表取締役社長
元:武田薬品工業(株) 製剤研究所 所長・理事

新しい化合物が合成され、その薬理効果が検討されても、このままでは「くすり」とはならない。確実に再現性のある効果を発揮し、使用期間を通じて安定性が確保され、かつ患者さまに使い易い製剤にするためには、その化合物の物理化学的、生物学的性質を充分に把握し、製剤設計することが重要である。さらに後発品開発においても他社との差別化を図るため付加価値を付与した製剤設計が重要となる。今回、製剤設計の重要性を説明するとともに、具体例を示すことにより、少しでも製剤研究者の設計業務に参考になればと考えている。


大谷 茂義 Shigeyoshi OTANI
ニプロ(株) 医薬品研究所 顧問
元:塩野義製薬(株) 製造部製剤技術課 課長
元:武州製薬(株) 生産技術ユニット 製剤技術グループ

製剤技術伝承講習会において、2007年3月に「造粒・乾燥」で流動層造粒、押出し造粒について、2008年9月に「篩過粉砕混合攪拌造粒」について講演し、製造条件の設定時の注意事項やトラブルへの対応、メカニズムについて製造現場で経験したKnow Howを紹介した。今回は見方を変えて、製造現場で異物混入防止、交叉汚染防止への対応も一つの医薬品製造の製剤技術と考え、このテーマで、原料混入異物、製造現場で混入しやすい箇所、作業、それらの混入防止対応などを紹介したい。研究部門の人にも製造現場を理解した品質設計、処方設計、製造設備などの条件の設定をするのに参考にしてほしい。


坂本 浩 Hiroshi SAKAMOTO
大原薬品工業(株)医薬開発研究所製剤技術研究室:技術顧問(非常勤)
(株)パウレック:技術顧問(非常勤) 2社兼任

ユーザーは、目的の粒子加工を行うために装置を導入するが、目的の製品が得られないケースも生じ、機械のせいにされることがしばしば生じる、機械メーカーの技術者としては、【この装置は良い装置である】と云ってほしい。このためには装置を上手に使いこなす情報提供することがアフターサービスの主流と考え、製剤技術の開発・蓄積・装置開発に努力してきた。

最近では、微粒子、苦味マスク、口腔内崩壊錠、安定性等、要望も多岐にわたってきているが、少しでも情報提供できればと願っている。


小倉敏弘 Toshihiro OGURA
日新化成(株) 顧問
元:塩野義製薬(株) 新薬研究所 製剤研究部門長

講義では、(1)製剤の重要な品質は、「安全性、有効性、安定性」であるが、「のみ易く、取扱い易く、造り易い」などの品質付与も大切であること。(2)薬物の特性、添加剤、製造方法、付与すべき製剤特性などを調査し、目標の製剤を設計し、製剤化実験を行って製剤を創ること。(3)将来安定に製造できるように、スケールアップ、工業化研究、標準化、などの結果を踏まえて製剤条件や品質などを確定すること。(4)製剤開発では、「ものを創り・造ろうというこころ」、開発日程の遵守、製品の完成度なども大切であること。などを伝えたい。


槇野 正 Tadashi MAKINO
京都薬品工業(株)
元:武田薬品工業(株) 製剤研究所・主席研究員

武田薬品で製剤研究(固形製剤)一筋40年の経験あり。得意分野は、製剤設計から製品化まで、製剤工程では特に造粒、打錠、コーティング技術そして品質確保として薬物の安定化、徐放化、新剤形としての口腔内崩壊錠に力を入れてきた。今回、コーティング技術で (1)水系コーテイング(水溶性、腸溶性、薄層糖衣)(2)ドライコーティング等のお話をし、造粒も原理的には粉体コーティングと認識しており、流動層造流(コーティング)についても説明を加えたい。製剤は所詮「水との闘い」「摩擦の利用」であり失敗の経験も多い。そして夢のコーティングが実現した。匠の技は、夢・執念・意地→追求かもしれない。


矢島稔央 Toshio YAJIMA
大正製薬(株) 生産本部 品質管理部
元:大正製薬(株) 生産本部 製剤1部
元:大正製薬(株) 医薬研究所 製剤研究室

クラリスロマイシンの苦味をマスキングした小児用製剤(ドライシロップ)を、初めての製剤技術を用い設計し、そして改良してきた経緯をお話します。その中には、経験のない領域への挑戦、失敗と成功の繰り返し、外的プレッシャーのみならず内的プレッシャーからの重圧等々、苦い話を交えながら、製剤技術のおもしろさ、そして伝承を目的に進めていきます。

製剤技術には夢があります。玉手箱や魔法の杖と同じです。まだ解明されていないこともたくさんあります。まだ見ぬ世界の扉を開けませんか。きっとそこには未来があります。


小久保宏恭 Hiroyasu KOKUBO
信越化学工業(株) 有機合成事業部 セルロース部 技術担当部長

水溶性セルロース誘導体の各種特性と結合剤,コーティング剤としての応用事例を,膨潤性セルロース誘導体の各種特性と崩壊剤,結合剤としての応用事例を紹介する.海外での技術サービスに長年従事した経験から,日本とは異なる製剤技術を背景とした多くの質疑が,単位操作を改めて見つめ直す良い機会を与えてくれました.講義ではこれらのエピソードを交え,製剤開発のおもしろさを伝えたい.医薬品添加剤は,その化学的純度のみでは語ることができません.粉体物性など多くの要素が製剤特性に影響を与えます.高分子の持つ曖昧さとその特性をうまく利用することで,製剤開発の一助となれば幸いです.


谷野忠嗣 Tadatsugu TANINO
塩野義製薬(株) 生産技術本部 CMC技術研究所 製剤研究センター長
元:製造本部 工業技術研究所長
元:製造本部 CMC開発研究所 製剤研究部長

ICHQ8においては、製剤開発におけるQbDの重要性が強調されているが、我々はレベルや体系的な差はあるにしても、すでにその考え方を先人から受け継ぎ、営々として実践してきた実績がある。今回はそれらの成果として得られた造粒技術・打錠技術の実際を振り返ることによって、今後の製剤技術の方向性を見極めるとともに、ICHQ8を従来からの取り組みの延長線として捉え、益々加速するグローバル化へ、あるいはより高度な品質保証システムの構築への一助となることを目指した実際的、応用的な内容を講義したい。


服部宗孝 Munetaka HATTORI
東和薬品(株)・生産本部顧問
元:アステラス製薬(株)・製剤技術研究所長

固形製剤はもともと多次元の複合系の組成物をつくるという性質から、理論の組み立てが難しいという宿命を背負っている。このため、小スケールでうまくいった製剤も大スケールになるとなかなかうまくいかないという例が多数見られる。このスケールアップの難しさおよび過去によくあった問題についてその原因を探るとともに、それらの解決にむけてどのようにアプローチすればよいかを、多少なりとも論理的な展開を図りながら解説してみようと思う。


寺田勝英 Katsuhide TERADA
東邦大学薬学部 教授 副学部長
元:中外製薬 中央研究所 主任研究員
元:千葉大学薬学部 助手

近年の製剤開発では、原薬の物理化学的特性や製造工程を科学的に評価することが求められている。さらに原料の物理的特性の微細な違いが製品の品質に影響を受けないような製剤設計、品質に影響を及ぼす重要工程や工程のエンドポイントに工程分析機器を活用して工程管理する手法が推奨されている。製剤技術、機械技術などの革新とともに分析技術や解析技術の進歩もあいまって、柔軟な発想に基づいた科学的な医薬品の品質保証が重要になると思われる。本講義では、物性分析技術が原薬や製剤の品質評価にどのように応用でき、製品の品質向上にどのように応用できるかをお話ししたい。


吉野廣祐 Yoshino HIROYUKI
神戸学院大学薬学部ライフサイエンス産学連携研究センター 客員特別研究員
元:田辺製薬(株) 製品研究所長

経口製剤は医療の場で最も高頻度で用いられる投与剤形であり、十分な治療効果と安全性を確保するためには、疾患の特徴、患者の病態、薬物の特性を良く考慮した製剤設計と使用法が要求される。すなわち、“必要な時間”に“必要な量”の薬物を“必要な部位”に送達するというDrug Delivery Systemの基本概念は経口薬物療法においてもそのまま当てはまる。本講義では経口DDS全般について製剤設計の進め方とそのベースとなる様々な放出制御技術を概説する。DDSはまさに製剤設計と製剤技術の調和であり、著者らの経験を通してその大切さを伝えたい。


篠田 晃 Akira SHINODA
サンノーバ(株) 生産技術部 部長付嘱託
エーザイマシナリー(株) 包装技術開発アドバイザー
元:エーザイ(株) 生産物流本部 包装企画室長

包装は商品の顔であり、ユーザーと企業を結ぶ有用なツールである。

医薬品包装の企画、設計、工業化研究の経験を基に、その変遷、製薬企業に於ける包装技術の役割、各種体験から学んだ教訓などについて述べ、今後の医薬品包装の課題について私見を述べる。

参加区分と参加費

参加区分 参加費 参加登録フォーム
【A】本学会会員/企業所属 95,000円 大阪会場

東京会場

【B】本学会会員/大学・病院等所属 70,000円
【C】本学会賛助会員企業社員 95,000円 大阪会場

東京会場

【D】本学会非会員 120,000円

□ 参加費には4日間12コマの講義・懇親会への参加・テキスト(開催初日に配布)が含まれます。

□ お申込は必ず参加者ご本人名義でお願い致します。

□ 参加登録フォームは、区分【A】【B】と区分【C】【D】で異なりますのでご注意下さい。

□ 参加登録受付は学会支援機構のページ(SSL接続)を使用しています。

□ 本学会会員(区分【A】【B】)の方は、ご登録にあたり「会員番号」「パスワード」が必要となります。

ご出席について

全講義の70%以上を受講された方に対し、講習会修了証書をご所属先上長様宛に送付致します。また、当初お申込の方による当日のご出席が不可能な場合は、一定の条件(以下参照)を満たす代理人による出席を認めます。

代理人の条件等

参加区分【A】【B】

代理人の条件:本学会会員

代理出席の方法:Emailによる事前申請が必要です。以下のフォームをメッセージ本文にペーストし、必要事項入力の上、タイトルを「製剤技術伝承講習会代理出席申請書」として、事務局までお送り下さい。

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(1)参加登録者氏名:[       ]

(2)代理出席者氏名:[       ]

(3)代理出席者の会員番号:[129-   -    ]

(4)代理出席を申請する講習会:第[  ]日 / [  月  日]開催分 / [大阪 or 東京]会場

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参加区分【C】【D】

代理人の条件:同一企業社員

代理出席の方法:会場受付に(1)当初登録の参加者の名刺 と (2)代理出席者の名刺を提出して下さい。

□ いずれの場合も、代理人は1日につき1名、全日程を通して2名までと致します。

お問合せ先

社団法人日本薬剤学会事務局
Phone: 03-5981-6018, Email: apstj [at] asas.or.jp